(シリーズ:棒読み英語を卒業する|第1回)
英語で話すとき、
「発音は間違っていないはずなのに、なぜか平坦に聞こえる。聞き取りづらい。話している内容が上手く伝わらない。」
そんな経験はありませんか?
それ、あなたが悪いわけではありません。
でも少しだけ言うと……あなたの“話し方のクセ”が原因です。
日本語は、世界でも珍しい「一音一拍」でできた几帳面な言語。
すべての音を同じ長さ・同じ高さで並べるように話す文化です。
だから英語を話すときも、無意識に
「正確に」「均等に」「きちんと」発音しようとします。
その結果──
英語では、印象が届かない話し方になります。
でも安心してください。
それは、あなたの真面目な努力の証拠なんです。
正確さや論理を大切にするタイプの人ほど、
リズムや抑揚を削ってでも「ミスを減らそう」とする傾向があります。
つまり、棒読みは“真面目さの副作用”。
そして裏を返せば、最も改善が早いタイプでもあります。
仕組みを理解すれば、そのクセは驚くほど早く直ります。
今日はその「リズムの違い」を一緒に見ていきましょう。
棒読みに聞こえる3つの理由
① 音がすべて均等 ― 日本語の「モーラ言語(Mora-timed language)」構造
日本語は「ひ・と・つ・の・音・を・同・じ・長・さ」で発音します。
たとえば「こんにちは」は5拍で、どの音も同じリズム。
一方、英語は「ストレス言語(stress-timed language)」。
重要な単語を強く、他は弱く・短く発音します。
この違いが、平坦な印象を生む最大の原因です。
たとえば、
🗣️ I want to go to the store.
→ 「アイ ワントゥ ゴゥ トゥ ザ ストォア」
強く読むのは want, go, store。
弱い音は短く、速く流れていきます。
モーラ言語で育った日本人は、すべての音を均等に出すクセが染みついています。
そのまま英語を読むと、強弱がなく、平坦な“棒読み”になります。
つまり、
モーラ言語のリズムをそのまま英語に持ち込むと、「正しくても伝わらない音」になる。
棒読みを脱却する第一歩は、「均等」から「強弱」へ、リズムの軸を切り替えることです。
② 感情を控える文化的習慣
日本語では、感情を声で強く表すことを「大げさ」と感じがちです。
けれども英語では、声の抑揚が感情そのものを表します。
たとえば “Really?” は、
「本当に!?」と驚くときは高く、
「本当に…?」と疑うときは低く言います。
同じ単語でも、声の高さとリズムで意味が変わってきます。
③ 息継ぎと「間」を取らない話し方
日本人は、相手を待たせないように一気に話す傾向があります。
しかし英語では、「間」が聞き手への思いやり。
短いポーズを入れることで、
聞き手が内容を理解しやすくなり、印象が格段に良くなります。
🗣️ 例)
棒読み:Thank you for coming today. I’m happy to be here.
伝わる英語:Thank you for coming today. (pause) I’m happy to be here.
英語は「聞かせる」言葉
英語プレゼンで大切なのは、文章を正確に読み上げることではありません。
聞き手が、耳でメッセージを理解できるように伝えることです。
つまり、
What you say(何を言うか)より、How you say it(どう言うか)
声のトーンや間の取り方が少し変わるだけで、同じ文章でも、伝わる印象はまったく違います。
🗣️ たとえば “Thank you for coming today.”
を平坦に読むと、形式的な挨拶に聞こえます。
けれど、語尾を柔らかく上げて、少し間を置くだけで、「本当に来てくれてうれしい」という温度が自然に伝わります。
英語は情報を読む言葉ではなく、感情を届ける言葉。
それを意識するだけで、あなたの声はぐっと伝わる音に変わります。
小さな気づき
「棒読み」は、日本人が最も陥りやすい話し方のクセです。
音よりも意味、リズムよりも正確さを重んじる文化の中で育った私たちは、
つい“正しく話す”ことを優先してしまいます。
その結果、どれだけ素晴らしい内容を話しても、
聞き手には感情のない平面音として届くことがあります。
内容が良いほど、それはとてももったいない。
棒読み脱却は、英語プレゼンを「伝わる」ステージへ引き上げるための第一歩です。
改善を行わず、棒読みのままでは、次のようなすれ違いが起こりやすくなります。
- 聞き手が内容に集中しづらい
- 真剣に話しているのに、熱意が伝わらない
- プレゼン全体の印象が薄く残る
つまり、せっかくの良い内容も、聞き手の記憶に残りにくくなるのです。
けれど安心して下さい。トレーニングを重ねることで、こうした小さなすれ違いを確実に減らすことができます。
棒読み現象は、才能の問題ではないので、練習で必ず改善できる分野です。
リズムをつけ、強弱をつけ、間を恐れずに話す。
その小さな積み重ねが、あなたの声を“伝わる音”へと変えていきます。

まとめ
- 棒読みに聞こえるのは、音をすべて均等に読んでしまうから
- 感情を抑える文化的習慣も影響している
- 英語は「強弱・高さ・間」で伝える言葉
棒読み脱却は、英語力を伸ばす最短ルートです。
あなたの英語が「正しい」からこそ、平坦に聞こえていたのかもしれません。
これからは、“伝わる音”を少しずつ意識してみてください。
その意識の積み重ねが、あなたの声を確実に変えていきます。
次回予告
次回は、いよいよ実践編。
「棒読みから脱出!英語が“伝わる声”に変わる3ステップ」をお届けします。
リズム・高さ・間、この3つであなたの声が生まれ変わります。

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