ネイティブ英語 vs グローバル英語 ― 経験豊富な技術者が選ぶべき「本当に成果が出る英語」―

「ネイティブのように話したい」。
多くの技術者がそう考えます。しかし、その必要性は本当にどれほどあるでしょうか。

明日の会議相手は、アメリカ人とは限りません。
インド、中国、ドイツ、シンガポール──。
実務で向き合う相手の多くは、英語を第二言語として使うプロフェッショナルです。

世界の英語話者の約75%はノンネイティブ。
この事実を踏まえると、キャリアの熟練者が目指すべき方向は明確です。

ネイティブ英語ではなく、グローバル英語。

これは単なる考え方の違いではありません。
実際、現場では次のような役割を任される機会が確実に増えていきます。

  • 多国籍プロジェクトのリーダー
  • 海外拠点との調整役
  • 技術顧問としての国際的な評価
  • 昇進・年収交渉での優位性

専門性を世界に届けるための、最も合理的な選択です。

この記事では、

✅ ネイティブ英語を追うことが遠回りになる理由
✅ グローバル英語が技術者に最適な理由
✅ 25年の実務から導いた「伝わる英語」の3原則
グローバル英語がもたらすキャリアの5つの変化

これらを、論理的に整理してお伝えします。

目次

「ネイティブ英語」という古い前提

日本で長く根付いてきた価値観があります。

  • 正しい英語=ネイティブ英語
  • アメリカ人のように話すことが理想
  • 流暢さこそ実力の証明

こうした前提が、実は多くのベテラン技術者を縛ってきました。

その結果、

  • 発音の不完全さが気になる
  • ネイティブ並みのスピードで話せないことを気にしてしまう
  • スラングを知らない自分に引け目を感じる

しかし、実務で求められるのは“伝達の正確さ”です。
鑑賞される英語ではなく、機能する英語が必要なのです。

グローバルの現場:英語は“ノンネイティブ同士の言語”

私は、北米・欧州・アジアの現場で 技術・企画・海外顧客をつなぐグローバル実務 を25年以上担ってきました。
そこで得た結論はシンプルでした。

英語を使う相手の8割以上がノンネイティブである。

国際研究でも、英語によるコミュニケーションの約80%は
“ノンネイティブ同士”と報告されています。

さらに現場には、実に多様なアクセントが存在します。

  • インド英語
  • 中国英語
  • ドイツ英語
  • 日本英語

それぞれが異なる“音のルール”を持っています。
この環境で求められるのは、ネイティブの再現ではありません。

誰にでも届く構造を持った英語です。

グローバル英語とは何か

グローバル英語とは、
国籍・文化・母語に左右されず、

誰にでも伝わる英語”を実現するための設計思想です。

特徴は明快です。

  • 発音は「正確さ」より「明瞭さ
  • 語彙は難語より「平易で直接的
  • スピードは「滑らかさ」より「丁寧さ
  • 文法は「完璧」より「伝達の精度
  • 多様なアクセントに対応できる構造

英語を「コミュニケーションの道具」として捉えるアプローチです。

[比較] ネイティブ英語 vs グローバル英語

両者の違いを整理すると、構造と目的そのものが異なります。

項目ネイティブ英語グローバル英語
ゴール英語圏の話し方を再現世界の誰にでも伝わる
発音自然・完璧明瞭・ブレない
スピード速く滑らかゆっくり・丁寧
語彙イディオム多用平易で直接的
文法完璧正確に伝われば十分
学習負荷長期戦3ヶ月〜6ヶ月で変化
キャリア価値英語圏中心全世界に通用

[実例] 伝わらなかった英語/伝わった英語

伝わらないケース

“We’re gonna leverage our synergies to maximize the ROI…”

意味は分かっても、イメージが掴めない。
スピードが速く、抽象語が多い。
その場での理解が追いつかず、会議は停滞します。

伝わるケース

“We will use our strengths together.
This will increase our return on investment.”

内容がその場で共有され、質問が活性化し、意思決定がスムーズに進む。

結局のところ、
“伝わる構造を持った英語”が現場を動かすのです。

[理由] 技術者にこそグローバル英語が必要

1)多様なアクセントでも成立する

明瞭でシンプルな英語は、アクセントに左右されません。
相手がどの国の人であっても成立します。

2)技術内容は「正確に伝わるか」がすべて

難語による“見かけの流暢さ”よりも、
手順・構造・図解――
技術者が理解しやすい形式で伝えることが大切。

3)熟練者の強み(論理・経験)と親和性が最も高い

技術者の持つ論理構造は、そのまま“伝わる英語”の基盤になります。

[原則] 現場で伝わる3つのヒント

原則1:明瞭さ > 流暢さ

スピードを求めない。
一語一語の輪郭をクリアに届けることが、信頼につながります。

原則2:シンプルさ > 複雑さ

抽象的な英語ではなく、
機能する英語。
短く、直接的な表現が最も強力です。

原則3:配慮 > 完璧さ

文法の微細な誤りよりも、
相手の理解を確認し、必要なら言い換える。
多国籍の現場では、この姿勢が最も評価されます。

私がグローバル英語を選んだ理由

私は英文科でも帰国子女でもありません。
私は大学3年から、主専攻とは全く関係のなかった英語をあえて学び直し、北米・欧州に渡り、
製造業と医療機器領域で、技術・企画・海外顧客をつなぐグローバル実務を歩んできました。

そこで実感したのは、次の一点です。

相手の大多数がノンネイティブであるという現実。

そのため、私は「ネイティブ英語」を追いませんでした。
代わりに、誰にでも伝わる構造を持った英語を鍛えました。

結果として、安定したスピーキングと、複雑な技術を分かりやすく伝える能力を評価され、
現在は 大手グローバル医療機器メーカーで、エグゼクティブ層への英語プレゼンテーション指導を行っています。

この、「伝わる構造」をつくる技術は、経営層からも高く評価されています。

全てが完璧ではなくても、十分に機能する。それが、プロの現場で求められる英語です。

[変化] グローバル英語がもたらすキャリアへのメリット

プロジェクトリーダーへの抜擢

「多国籍チームをまとめられる人材」として、グローバルプロジェクトのリーダーに選ばれる機会が増えます。

【実例】
  • Sさん(47歳・IT業界)の場合: グローバルプロジェクトのリーダーを任されるようになり、年収が420万円 → 680万円に(+260万円)。
  • 「英語ができるだけで、こんなに評価が変わるのか」と驚いたそうです。
  • <データ> 英語でビジネスができる技術者の平均年収は、できない技術者より300-600万円高い(リクルート調査)

海外拠点との架け橋

「本社と海外拠点の両方と確実にコミュニケーションできる」技術者として、重要な役割を任されます。

【実例】
  • Tさん(52歳・製造業)の場合: グローバル英語を習得してから1年半で、課長 → 部長に昇進。
  • 理由は「海外拠点とのコミュニケーションが円滑になり、プロジェクト成功率が上がったため」と人事から評価された。
  • <データ> 英語でプレゼンできる管理職は、そうでない人と比べて昇進スピードが平均1.8倍速い(日本生産性本部調査)

国際会議・カンファレンスでの発表

業界の国際会議で自社技術をプレゼン。企業の顔として、技術顧問として評価されます。

【実例】
  • Mさん(49歳・化学メーカー)の場合: グローバル英語で国際学会発表を開始。
  • → LinkedIn のフォロワーが200人 → 2,500人に。
  • → 海外企業から共同研究のオファーが3件届いた。
  • 「自分の技術が、日本だけでなく世界で評価されていると実感できた」

年収・待遇の向上

グローバル対応可能な技術者としての市場価値が上がり、年収交渉、昇進、転職市場での評価が向上します。

【実例】
  • Kさん(55歳・機械設計)の場合: 英語プレゼンスキルを履歴書に追加したところ、スカウトメールが月3件 → 月15件に急増。
  • 最終的に外資系企業から年収800万円のオファーを獲得(前職比+200万円)。
  • <データ> 「英語でプレゼン可」と記載した技術者の転職成功率は、そうでない人の2.3倍(doda調査)

定年後のセカンドキャリア

国際的な技術顧問、コンサルタントとして60代、70代でも活躍できる道が開けます。

【実例】
  • Yさん(58歳・電気技術者)の場合: 定年を前に、グローバル英語での技術コンサルタントとして独立準備中。 すでに東南アジア企業から3件の顧問契約オファーを獲得。
  • 「60歳以降も、世界を相手に仕事ができる。これほど心強いことはない」
  • <データ> 60代のシニア技術者で「英語での業務経験あり」の人は、そうでない人と比べて再雇用率が1.9倍高い(厚労省データ)

これらは「ネイティブ英語」を目指していたら、
10年かかっても到達できなかった可能性があります。
でも「グローバル英語」なら、
3-6ヶ月で、これらのチャンスが少しづつ、でも確実に見えてきます。

キャリアの熟練者が選ぶべき道

明日のプレゼン相手はアメリカ人やイギリス人だけではありません。インド、中国、ドイツなど、多彩な人たちです。

だからこそ――

「グローバル英語」へのシフトこそ、プロとして価値を最大化する選択肢

理由

✅ 実務のニーズに直結
✅ キャリアの成熟にふさわしい合理性
✅ 専門家としての資質や論理力を最大化
✅ 世界を舞台に活躍できる基礎力

まとめ

経験豊富な技術者が選ぶべき英語は、
グローバル英語です。

その理由は明確です。

  1. 現場の8割はノンネイティブとのやり取り
  2. 明瞭さの方が流暢さより重要
  3. 短期間で効果が出る
  4. 技術者の論理力と最も親和性が高い
  5. キャリア価値が大きく向上する

ネイティブ英語を追う時代は終わりました。
世界の誰にでも伝わる英語を設計する時代です。

次回予告

「グローバル英語のための音声学的アプローチ~理系脳で発音を設計する~」

では、具体的にどう学ぶのか?
理系技術者に最適な、論理的な発音習得法を解説します。

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