3原則の考え方
英語の発音と聞くと、多くの人が「RとLの違い」や「thの発音」を思い浮かべるでしょう。
けれど実際に、ネイティブが理解しにくい最大の原因は、“個々の音の正確さ”ではありません。
大切なのは、
「どこを強く言うか」
「どんなリズムで話すか」
「声の上下でどのように感情をのせるか」
この3つを上手くつかめていないと、文字表現が完璧でも、相手には届かないのです。
つまり―
強勢(Stress)・リズム(Rhythm)・イントネーション(Intonation)
この3つを理解できれば、
相手の言葉も、自分の言葉も、しっかりと届き始めます。
🎧 音声で確認したい方へ
この記事で紹介しているフレーズは、YouTubeショートで実際の発音・リズム・イントネーションを解説しています。
耳でリズムを感じながら練習したい方は、こちらもぜひご覧ください。
👉 https://youtube.com/shorts/9p7Hgt5s3pU
🟦 原則①:強勢(Stress)― どの音を「立たせる」か
英語は「強弱のある音楽」です。
1つの単語の中でも、どの部分を強く言うかによって、聞き手に伝わる印象が大きく変わります。
そして文全体でも、強く言う単語がはっきりしていると、相手は意味をつかみやすくなります。
逆に、どの音も同じ強さで話してしまうと、まるで単調なモノトーンのBGMのようになってしまい、
言葉の輪郭がぼやけ、聞き手は理解に時間がかかってしまいます。
🔸コツ:
- 1単語の中で “最も大切な音節” をしっかり立たせる
- 文の中では “キーワード” を強めに、前後の機能語は軽く
💬 例)
“I’d love to join, but I’m busy today.”
→ “love” と “busy” を強調するだけで、感情と意図が明確に。
🟦 原則②:リズム(Rhythm)― 強い音の「間隔」をそろえる
英語には「等間隔リズム」があります。
強勢のある単語を一定のリズムで打つように話すと、聞き取りやすくなります。
これは日本語の「音節リズム」と真逆の構造です。
🔸コツ:
- 英語のリズムは、「強く言う音(強勢)」をビートのように並べて作られています。そのため、まずは強勢のある音をリズムの軸にすることが大切です。
- 1文の中で、その強い音どうしの間隔をそろえると、英語らしいテンポになります。日本語のようにすべての音を同じ強さで並べるのではなく、強い・弱いの波を意識してみましょう。
- 練習のときは、拍手をしたり、指でトントンとリズムを取りながら声に出すと、体で感覚をつかめます。頭で考えるより、音とリズムを体で感じることが、自然な発音への第一歩です。
💬 例)
“She works in Tokyo and lives in Utsunomiya.”
→ 強い音を打点に置くと、自然と英語らしいテンポになる。
コラム:英語と日本語のリズムの違い
英語は「等間隔のリズム(stress-timed rhythm)」の言語です。
強く発音される音(=強勢)の間隔がほぼ一定で、その間の弱い音は速く短くまとまります。
そのため、英語には自然なテンポと“跳ねるようなリズム”が生まれます。一方、日本語は「音節リズム(syllable-timed rhythm)」。
すべての音をほぼ同じ長さと強さで発音するため、フラットで均等なテンポになります。この違いを意識するだけでも、「英語の音には強弱の波がある」という感覚がつかめます。
拍子を取りながら声に出すと、そのリズムの違いがより実感できます。
🟦 原則③:イントネーション(Intonation)― 感情をのせる“声の曲線”
英語は、声の高さで意味や感情を伝える言語。
イントネーションが単調だと「冷たい」「退屈」に聞こえてしまいます。
一方で、声の上下を意識するだけで、伝わる印象が劇的に変わります。
🔸コツ:
- 質問文は語尾を上げる(Are you ready↑?)
- 事実を伝える文は下げる(It’s raining↓.)
- 感情を込めたい時は“波のように”声を動かす
💬 例)
“I really appreciate it.”
→ “really” を少し上げ、“appreciate” を柔らかく下げると自然。
まとめ:伝わる発音は「完璧さ」より「リズム感」
通じる英語とは、“音の正確さ”よりも“流れの心地よさ”。
単語の一部を強く、リズムをそろえ、声に抑揚をつける―
それだけで、相手は驚くほど聞き取りやすくなります。
だからこそ、今日からは発音練習に「リズムとビート感」も加えてみてください。
音の流れを感じながら声に出すことで、あなたの英語が「音」ではなく「メッセージ」として届きはじめます。
一言メモ(読者へのエール)
あなたの声には、あなたにしか出せないリズムがあります。
単語を完璧にそろえるより、息の流れと強弱のリズムを感じながら話してみてください。
声の抑揚や間の取り方に意識を向けると、英語が「整った音」から「心に届く音」へと変わっていきます。
英語を“整える”より、“響かせる”ことを目指しましょう。


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