言葉で時代を動かした3人・第1回 <感情編>:マーティン・ルーサー・キング牧師 (Martin Luther King Jr.)
はじめに
心を動かすスピーチに、難しい言葉はいりません。
大切なのは「何を言うか」だけではなく、どう伝えるか。
Martin Luther King Jr. の “I Have a Dream” は、
短いフレーズを何度も繰り返しながら、聴く人の心に希望を広げました。
その力の源は、声のリズムと“間(ま)”の使い方です。
彼の言葉は単なる音ではありませんでした。
一つひとつのフレーズに、信念と願いが込められている。
だからこそ、半世紀たった今も、私たちの胸を打つのだと思います。
英語プレゼンも同じです。
完璧な文法や語彙よりも、自分の言葉を自分のテンポで伝えること。
それだけで、英語のメッセージはぐっと心に響くようになります。
🎧 聴いてみよう ― “I Have a Dream” の力
1963年8月28日、ワシントンD.C.のリンカーン記念堂。
25万人の聴衆を前に、King牧師はこう語り始めます。
“I have a dream.”
たった一文。
でも、これを何度も繰り返すうちに、聴衆の表情が変わっていきます。
会場全体が、ひとつの“希望のリズム”で包まれていくのです。
🎧 ぜひ、彼の“声”で聴いてみてください。
▶ Martin Luther King Jr. “I Have a Dream” — Full Speech (YouTube)
✴️ リズムが生む力 ― “反復”という最強の技法
“I have a dream that one day this nation will rise up…”
“I have a dream that one day on the red hills of Georgia…”
“I have a dream today.”
この“反復”が、King牧師のスピーチ最大の魅力です。
同じ言葉を繰り返すことで、聴き手の心にメッセージが刻まれていきます。
英語プレゼンでも同じ。
大切な言葉は一度ではなく、リズムをつけて繰り返す。
それだけで、心を動かす力が何倍にも高まります。
💡 ポイント
Repetition(反復)は、強調のためではなく、共感を生むためのリズムです。
✴️ “間(ま)”が語る ― 声に信頼を宿す方法
King牧師のスピーチは、静寂も印象的です。
言葉のあとに、短い“間”を置く。
その一呼吸の中で、聴き手は“自分の夢”を思い描きます。
英語プレゼンでも、沈黙は敵ではありません。
一拍置くことで、言葉に重みが生まれます。
それが、聴き手の記憶に残る“声のリズム”です。
✴️ 自分の “I Have a Dream” を語ってみよう
King牧師の構文は、あなたの実際のスピーチにも応用できます。
あなたなら、こんなふうに言い換えられるかもしれません。
“I have a dream that our work will truly help someone.”
“I have a dream that my English will connect me with people around the world.”
“I have a dream that kindness becomes our daily language.”
夢の大小は関係ありません。
大切なのは、それを声に出して伝えること。
その瞬間、言葉があなた自身のエネルギーに変わります。
使ってみたい! “I Have a Dream” に学ぶ英語フレーズ集
💡 POINT
King牧師のスピーチには、日常の英語スピーチやプレゼンにそのまま使える表現がたくさんあります。
ここでは、短く・印象的で・今すぐ使えるフレーズを厳選しました。
🌱 夢や信念を語る(Hope & Belief)
💬 “I have a dream that one day …”
いつか必ず――という希望を語る定番フレーズ。
🔹 使える場面: 将来の目標やビジョンを語るとき。応用例: I have a dream that our team will change the way people work.
💬 “I believe in a future where …”
「信じる未来」を語ることで、聴き手の共感を得やすくなります。
🔹 使える場面: 理念や価値観を共有したいとき。応用例: I believe in a future where technology truly serves people.
💬 “I hope someday we can …”
穏やかに“願い”を伝えたいときに。
🔹 使える場面: チームや家族など身近な希望を語るとき。応用例: I hope someday we can work beyond borders.
💼 自分の想いを語る(Personal Stance)
💬 “What I truly believe is that …”
自分の考えを落ち着いて提示できる構文。
🔹 使える場面: 意見や提案を伝えるとき。応用例: What I truly believe is that change begins with respect.
💬 “I stand here today because I believe …”
スピーチや自己紹介の冒頭にもぴったり。
🔹 使える場面: 自分の立場・使命感を語るとき。応用例: I stand here today because I believe in the power of learning.
✨ 聴き手を励ます(Encourage & Invite)
💬 “Together, we can make a difference.”
「一緒に」がキーワード。聴き手を巻き込む表現。
🔹 使える場面: チームや聴衆に行動を促すとき。応用例: Together, we can make a difference in our community.
💬 “It may be difficult, but it’s possible.”
困難を認めながら希望を示す一文。
🔹 使える場面: 挑戦を呼びかけるとき。応用例: It may be difficult, but it’s possible if we start now.
💬 “Let’s begin with what we can do today.”
行動を促す締めの一文に最適。
🔹 使える場面: プレゼンのまとめや会議の締めに。応用例: Let’s begin with what we can do today — small steps matter.
📝 Note for yourself(メモしてみよう)
💭 今日、“言ってみたい”と思った一文をひとつ選んで声に出してみましょう。
それが、あなた自身の “I have a dream.” です。🪶 小さな声でもOK。声に出す瞬間、言葉はあなたのものになります。
まとめ ― 言葉が心に届く瞬間
King牧師が教えてくれるのは、
「うまく話す」よりも「信じて話す」ことの大切さ。
同じ言葉でも、気持ちを込めて話せば、伝わり方が変わります。
それが、プレゼンにも英会話にも共通する「言葉の力」です。
“I have a dream.”
その一言は、特別な人だけのものではありません。
誰でも、自分の想いを語ることから始められます。
今日、あなたの “I have a dream” は何ですか?


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