ドイツの工場でのプレゼン。
技術通訳として同席していた私は、日本人エンジニアが新しい製造方法のデータを説明する姿を見ていました。
「Our new method… this data is more better than the old one.」
その瞬間、ドイツ人エンジニアの表情が微妙に歪んだのが見えました。
会議後、彼は日本人エンジニアにやさしくこう教えていました。
「”more better” は使わないんだ。”better” だけで十分だよ。」
二重比較級。 中学英語の基本中の基本です。
でも、プレゼン本番の緊張の中で、口から出てしまったんです。
技術的な内容は完璧だったのに、この一言で信頼性が揺らいでしまった・・・。
実は、私も同じ失敗をした経験があります。
あなたも、こんな経験はありませんか?
なぜ、技術者ほど「データ比較」でつまずくのか

データ比較は、技術プレゼンの核心です。
「AとBを比較し、Aの優位性を証明する」——これができなければ、どんなに優れた技術も伝わりません。
ところが、英語が苦手な50代の技術者ほど、ここでつまずきやすいと感じています。
- 技術的な数値は完璧に準備できている
- でも、その数値を英語で「説得力ある形」で説明できない
- グラフやデータの説明が、いつも “better than…” だけになってしまう
- パーセンテージや倍数の読み上げで、相手に聞き返される
「技術は一流なのに、英語で損をしている」——このもったいなさを解消するのが、この記事の目的です。
この記事で学べること

この記事では、25年以上のグローバル実務で培った経験をもとに、「データ比較の英語表現」50フレーズを整理しました。
学べることは、次の通りです。
- データ比較の基本パターン3つ
- データタイプ別フレーズ(性能・コスト・時間・精度・信頼性)
- 棒グラフ・折れ線グラフ・円グラフの説明テンプレート
- パーセンテージ・倍数・小数点・分数の正しい読み上げ
- 差の大きさに応じた副詞の使い分け
- 25年の実務でたどり着いた「データ比較の3原則」
- 明日のプレゼンからすぐ試せる「3つのアクション」
フレーズはたくさん紹介していますが、最初から全部を覚える必要はありません。
まずは「自分のプレゼンで確実に使うもの」を5〜10個だけ選んで練習することをおすすめします。
Section 1: 比較の3つの基本パターン

データ比較には、3つの基本パターンがあります。
これを押さえれば、どんなデータでも自信を持って説明できます。
パターン1:優劣を示す
ある技術がもう一方より『優れている』ことを示したいときの表現です。
基本フレーズ:
✅ A is superior to B
✅ A outperforms B
✅ A is more efficient than B
発音ポイント:
- “superior” [suː-PEER-i-ər]
→ 第2音節「PEER」を強く発音します。「スーペリオー」ではなく「スーピアリア」。
- “outperforms” [aut-pər-FƆRMZ]
→ 第3音節「FORM」を強く。「アウトパフォームズ」ではなく「アウトパフォームズ」。
最後の “-s” は「ス」ではなく、軽く「z」の音を添えるだけです。
スライドでの実例:
“Method A is 30% more efficient than Method B in terms of processing speed.”
パターン2:数値の大小
数値データの比較では、「どれくらい大きいか・小さいか」を明確に伝えます。
基本フレーズ:
✅ A is significantly higher than B
✅ A exceeds B by 20%
✅ A is twice as large as B
発音ポイント:
- “significantly” [sig-NIF-i-kənt-li]
→ 第2音節「NIF」を強く。「シグニフィカントリー」ではなく「シグニフィカントリ」。
長い単語ですが、強弱のリズムを意識すれば聞き取りやすくなります。
- “exceeds” [ik-SIːDZ]
→ 第2音節「SEED」を強く。「エクシーズ」ではなく「イクスィーズ」。
最後の “ds” は「ズ」と濁ります。
スライドでの実例:
“Q3 revenue significantly exceeded our target by 25%.”
パターン3:傾向の比較
時系列データや変化の傾向を比較するときに使います。
基本フレーズ:
✅ A shows a steeper increase than B
✅ A demonstrates a more stable trend than B
✅ A exhibits less variation than B
発音ポイント:
- “steeper” [STIː-pər
→ 第1音節「STI」を強く。「スティーパー」の「スティー」を強調します。
- “demonstrates” [DEM-ən-streɪts]
→ 第1音節「DEM」を強く。「デモンストレイツ」ではなく「デマンストレイツ」。
中間の音節は軽く流します。
スライドでの実例:
“The line graph shows that Method A demonstrates a steeper upward trend compared to Method B throughout the testing period.”

Section 2: データタイプ別フレーズ集

ここからは、実際のプレゼンでよく使うデータタイプ別に、フレーズをまとめます。
2-1. 性能比較
新しい技術・方法・システムの性能を比較するときのフレーズです。
✅ Method A performs better than Method B
✅ System A is more robust than System B
✅ Design A offers superior stability compared to Design B
実際のプレゼン例:
“As you can see in this graph, Method A performs 30% better than Method B in terms of processing speed. This improvement is particularly significant under high-load conditions.”
発音の罠:
- “robust” [roʊ-BɅST]
→ 「ロバスト」ではなく「ロウバスト」。第2音節を強く。
日本語の「ロバスト」に引きずられないよう注意です。
2-2. コスト比較
予算や費用対効果を説明するときの定番フレーズ。
✅ Option A is more cost-effective than Option B
✅ Approach A reduces costs by 15% compared to Approach B
✅ Solution A provides better ROI than Solution B
実際のプレゼン例:
“When we compare the total cost of ownership, Solution A is significantly more cost-effective than Solution B, with an estimated ROI improvement of 40% over three years.”
発音の罠:
- “cost-effective” [kɔst-i-FEK-tiv]
→ 「コスト・エフェクティブ」ではなく「コスティフェクティv」。
最後の “-tive” は「ティブ」ではなく「tiv」と短く発音します。
また、”cost” と “effective” の間に小さな pause を入れず、流れるように繋げます。
2-3. 時間・速度比較
処理時間や開発期間を比較するフレーズ。
✅ Process A is 40% faster than Process B
✅ Method A requires less time than Method B
✅ System A completes the task in half the time
スライドでの見せ方:
- Process A: 2.5 hours
- Process B: 4.2 hours
→ “Process A is approximately 40% faster.”
実際のプレゼン例:
“Our new algorithm completes the analysis in half the time compared to the conventional method, reducing processing time from 4.2 hours to just 2.5 hours.”
発音ポイント:
- “faster” [FÆS-tər]
→ 第1音節「FAS」を強く。「ファスター」の「ファ」を強調。
- “completes” [kəm-PLIːTS]
→ 第2音節「PLEET」を強く。「コンプリーツ」ではなく「カムプリーツ」。
2-4. 精度・品質比較
測定精度や製品品質を比較するフレーズ。
✅ Algorithm A is more accurate than Algorithm B
✅ Technique A provides higher precision than Technique B
✅ Method A yields better quality results
実際のプレゼン例:
“In our comparative testing, Algorithm A demonstrated 15% higher accuracy than Algorithm B, with particularly strong performance in edge case scenarios.”
発音ポイント:
- “accurate” [ÆK-yə-rət]
→ 第1音節「AK」を強く。「アキュレート」ではなく「アキュリt」。
最後の “-ate” は「エイト」ではなく短く「ət」です。
- “precision” [pri-SIʒ-ən]
→ 第2音節「SI」を強く。「プレシジョン」ではなく「プリサイジャン」。
Section 3: 数値の読み上げ方

データ比較で最も緊張するのが、数値の読み上げです。
私も、何度も聞き返されました。
「3.5%」を「three point five percent」と言ったつもりが、相手には「thirty five percent」と聞こえていた。
数値は、ゆっくり、明瞭に発音することが大切です。
3-1. パーセンテージ
- 30% → “thirty percent”
- 0.5% → “point five percent” または “half a percent”
- 150% → “one hundred fifty percent”
発音ポイント:
- “percent” [pər-SENT]
→ 第2音節「SENT」を強く。「パーセント」ではなく「パセント」。
ゆっくり読むコツ:
数字とpercentの間に、ほんの少し間を入れます。
❌ 「サーティパーセント」(繋げすぎ)
✅ 「サーティ [pause] パーセント」(間を入れる)
3-2. 倍数表現
倍数は、英語独特の表現があります。
- 2倍 → “twice as large as” / “double”
- 3倍 → “three times as large as” / “triple”
- 4倍以上 → “four times as large as”
よくある間違い:
❌ “two times larger”(文法的には可能だが、不自然)
✅ “twice as large”(自然で好まれる)
実際のプレゼン例:
“The new design’s capacity is twice as large as the previous version, allowing us to handle double the throughput.”
発音ポイント:
- “twice” [twaɪs]
→ 「トワイス」ではなく「トゥワイs」。最後の “s” は軽く。
3-3. 小数点
小数点の読み方は、日本語と違います。
- 1.5 → “one point five.”
- 0.05 → “zero point zero five.” または “point oh five.”
- 2.75 → “two point seven five.”
読み上げのコツ:
小数点 “.” は必ず “point” と読みます。
小数点以下の数字は、一桁ずつ読みます。
❌ 「two point seventy-five」(2.75を「seventy-five」と読むのは誤り)
✅ 「two point seven five」(一桁ずつ)
Section 4: グラフ説明での実践

データ比較は、グラフと一緒に説明することがほとんどです。
グラフのタイプ別に、実践的なフレーズを紹介します。
4-1. 棒グラフ(Bar Chart)
棒グラフは、複数項目の比較に最適です。
フレーズ例:
“As shown in the bar chart, Product A’s sales significantly exceed Product B’s by approximately 40%.”
“The bar graph clearly indicates that Method A outperforms Method B across all test conditions.”
発音ポイント:
- “bar chart” [bɑr tʃɑrt]
→ 「バー・チャート」と分けるのではなく、「バーチャート」と繋げます。
ただし、”bar” の “r” は軽く、「バァチャート」のように。
4-2. 折れ線グラフ(Line Graph)
時系列データの傾向比較に使います。
フレーズ例:
“The line graph demonstrates that Method A shows a steeper upward trend compared to Method B throughout the testing period.”
“As we can observe in the line chart, System A maintains more consistent performance than System B over time.”
発音の罠:
- “compared to” [kəm-PƐRD-tu]
→ 「コンペアード・トゥ」ではなく「カムペアdトゥ」。
“to” は「トゥ」ではなく軽く「tu」と短く発音します。
また、”compared” と “to” の間に pause を入れず、流れるように繋げます。
4-3. 円グラフ(Pie Chart)
割合の比較に使います。
フレーズ例:
“The pie chart reveals that Segment A accounts for a larger proportion than Segment B, representing 45% versus 30%, respectively.”
“As illustrated in the pie chart, Category A constitutes a significantly greater share than Category B.”
発音ポイント:
- “proportion” [prə-PƆR-ʃən]
→ 第2音節「POR」を強く。「プロポーション」ではなく「プラポーション」。

Section 5: 比較を強調する副詞

比較の強弱を表現する副詞を使い分けることで、データの印象をコントロールできます。
強い差を示す副詞
- significantly(顕著に)
- substantially(実質的に)
- considerably(かなり)
- dramatically(劇的に)
- remarkably(著しく)
使用例:
“Method A is significantly more efficient than Method B.”
“The new design substantially reduces manufacturing costs.”
発音ポイント:
- “substantially” [səb-STÆN-ʃəl-i]
→ 第2音節「STAN」を強く。「サブスタンシャリー」ではなく「サブスタンシャリ」。
弱い差を示す副詞
- marginally(わずかに)
- slightly(若干)
- moderately(適度に)
- somewhat(いくらか)
使用例:
“The difference between A and B is only marginally noticeable.”
“Performance improved slightly with the new configuration.”
使い分けの基準:
- 10%以上の差 → significantly, substantially, considerably
- 5-10%の差 → moderately, somewhat
- 5%以下の差 → marginally, slightly
この基準を意識すると、データの印象を正確に伝えられます。
データ比較の3原則

原則1:数値は「ゆっくり、明瞭に」
焦って数値を読むと、必ず聞き間違いが起きます。
数字の前後に、ほんの0.5秒の間を入れるだけで、劇的に伝わりやすくなります。
原則2:同じ表現を繰り返さない
“better than” を5回使うと、単調で説得力が落ちます。
A is better than B. C is better than D. E is better than F.
A is superior to B. C outperforms D. E shows greater efficiency than F.
表現を変えるだけで、プレゼンが洗練されます。
原則3:自信のない数値は、紙に書いて見せる
どうしても発音に自信がない場合、紙に書いて示すのも立派な戦略です。
ドイツでのプレゼン後、こう学びました:
「正確さが最優先。口頭で伝わらなければ、スライドや紙で補えばいい。完璧な発音より、正確な情報が大切だ。」
恥ずかしがらず、伝える工夫をすること。
それが、グローバル英語の本質です。

まとめ:今日から使える3つのアクション
今日、この記事で学んだフレーズを、明日のプレゼンで使いましょう。
アクション1:自分のプレゼンで最もよく使う比較パターンを3つ選ぶ
- 性能比較?コスト比較?時間比較?
- 自分のデータに合うフレーズを3つだけ選びます。
アクション2:その3つを声に出して10回練習する
- 発音記号を確認しながら、ゆっくり発音します。
- 録音して聞き直すと、改善点が見えます。
アクション3:次のプレゼンで、”better than”以外の表現を1つ使ってみる
- たった1つでいいんです。
- 「outperforms」でも、「significantly higher」でも。
- その一歩が、自信につながります。
「型」を身につければ、自信を持ってデータを語れる
25年前には、私も、「This data is more better than…」と言って、恥をかきました。
でも、今では、どんなデータでも自信を持って比較できます。
なぜか?
「型」を身につけたから。
英語は、才能ではありません。
「設計」です。
この記事のフレーズを、あなたの「型」として身につけてください。
技術は一流なのに、英語で損をするのはもったいない。
あなたの技術の価値を、正確に伝えましょう。
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