言葉で時代を動かした3人・第2回 <行動編>:ジョン・F・ケネディ大統領 (John F. Kennedy)
はじめに
言葉には、人の心だけでなく、行動を変える力があります。
1961年、アメリカの新しい大統領となったジョン・F・ケネディは、
就任演説でこう語りました。
“Ask not what your country can do for you — ask what you can do for your country.”
たった20語ほどのこの一文が、
今も世界中で引用されるのはなぜでしょうか?
それはこの言葉が、短く・強く・自分ごとに響く構成になっているからです。
ケネディは「人を動かす言葉の作り方」を、リズムと対比で表現していました。
🎧 聴いてみよう ― “Ask Not” の瞬間
“Ask not what your country can do for you — ask what you can do for your country.”
📺 ▶ Kennedy’s Speech(20秒ショート動画で聴く)
短い中にも、緊張感と希望が同居しています。
聴けばきっと、なぜこの言葉が人を動かすのかが伝わってきます。
✴️ “対比”が生むインパクト
まず注目したいのは、構文の対比(Contrast)です。
“Ask not what your country can do for you — ask what you can do for your country.”
前半と後半がまるで鏡のように入れ替わっています。
- “your country can do for you”
- “you can do for your country”
言葉の順番を反転させることで、
聞く人の意識を「受け身」から「行動」へ切り替える。
この“Ask not / ask”の繰り返しが、人の心にスイッチを入れる仕掛けなのです。
💡 あなたも使えるヒント:
“Don’t ask what others will do — ask what you will start.”
“Don’t ask what will change — ask how you can change it.”
✴️ “三つのリズム”で心をつかむ
ケネディのスピーチには、三段リズム(Rule of Three)がよく使われています。
人は「3つ」で語られると、自然にリズムを感じ、記憶しやすくなります。
“We shall pay any price, bear any burden, meet any hardship.”
「3つの動詞」を並べることで、言葉に力と前進するリズムが生まれています。
💡 あなたのプレゼンにも使える例:
“We aim high, work hard, and never give up.”
“Be clear, be kind, be confident.”
たった3つの言葉でも、メッセージは驚くほど伝わりやすくなります。
✴️ “声のテンポ”が信頼をつくる
ケネディのスピーチは、早口ではありません。
一文ごとに呼吸を置きながら、ゆっくりと語ります。
そのテンポが、聴く人に安心感と信頼を与えるのです。
英語プレゼンでも同じ。
速く話すことよりも、「一文ごとに届ける」ことが大切です。
少しの間(ま)があるだけで、言葉がきちんと届く。
💡 練習のコツ:
英語を話すときは、1文ごとに一呼吸おいてみましょう。
声が落ち着き、言葉がぐっと伝わりやすくなります。
✴️ 自分の “Ask Not” を作ってみよう
この構文は、どんな場面でも応用できます。
“Ask not what your company can do for you — ask what you can do for your team.”
“Ask not what others will give you — ask what you can create together.”
“Ask not what your dream needs — ask what you will do to make it real.”
言葉を反転させるだけで、メッセージが「自分から動く言葉」に変わります。
💡 今日の一歩:
あなたの仕事や目標に合わせて、「Ask not … ask …」の形で1文作ってみましょう。
声に出すと、自然に前向きな気持ちになります。
使ってみたい! “行動を促す英語フレーズ集”
💡 POINT
行動を呼びかけるときは、短く・力強く・前向きに。
💼 行動を起こす
- “Let’s begin.” → 「今すぐ始めよう」
- “We can do better.” → 「もっとできる」
- “Now is the time to act.” → 「行動するのは今」
🌎 一体感をつくる
- “Together, we can make a difference.” → 「一緒なら変えられる」
- “Let’s build something that lasts.” → 「長く続くものを作ろう」
💪 決意を伝える
- “No matter how hard it gets, we will not stop.” → 「どんなに難しくても止まらない」
- “We choose to move forward.” → 「私たちは進むことを選ぶ」
まとめ ― 行動を生み出す言葉の力
ケネディのスピーチが今も語り継がれるのは、理想を語るだけでなく、人に「行動の形」を見せたからです。
言葉が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、未来が動く。
たった一文でもいい。
今日、あなたが誰かに伝える言葉が、その人の背中を押す力になるかもしれません。


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