構成は“流れを見せる工夫”で伝わりやすくなる
英語でのプレゼンにおいて、構成はただの骨組みではありません。
構成をどう“見せる”かが、聴衆の理解と安心感を大きく左右します。
難しいテクニックは不要です。シンプルな型を知り、要所でサインポスト(First / Next / Finally など)を添えるだけで、伝わり方は見違えます。
代表的な3つの型
① 論理的に説得する ― PREP法
流れ:結論 → 理由 → 具体例 → 結論(Point → Reason → Example → Point)
効果:最初にゴールを示すことで安心感が生まれ、筋道が明確になり説得力が増す。
おすすめ場面:短時間で要点を明確にしたい会議/意思決定を促す提案/要旨報告
サインポスト & フレーズ例
- My point is…(結論)
- The reason is…(理由)
- For example…(具体例)
- So, my point is…(結論の再提示)
- つなぎ語:First, / Next, / Finally, / Therefore, / This means…
NG → OK(よくある修正)
- NG:背景から長く話し、結論が見えない
- We started the pilot last month, and several teams tried…
- OK:結論を先に → 理由 → 例
- My point is that the pilot proved a 20% reduction. The reason is… For example…
練習のコツ(5分で型を入れる)
- 紙に4行だけ書く:結論/理由/例/結論。
- 各行1文に限定(長くしない)。
- My point is… の前後で1拍置く。
- 録音→「最初の5秒で結論が出ているか」だけチェック。
使い分けのヒント
- 「時間が短い」「意思決定が要る」ならまずPREP。
- 迷ったらPREPを土台にし、必要に応じて“例”を増減。
② 共感で引き込む ― ストーリー型
流れ:背景 → 問題(転機)→ 解決 → 学び・未来
(Background → Challenge → Solution → Takeaway/Future)
効果:起伏が注意を惹き、理解だけでなく共感を生む。
おすすめ場面:研究背景の説明/組織変革の共有/導入事例の発表
サインポスト & フレーズ例
- Last year, we faced…(背景)
- The turning point was…(転機)
- We implemented…(解決)
- The key takeaway is… / Going forward, we will…(学び/未来)
- つなぎ語:At first, / However, / As a result, / In the end…
NG → OK(よくある修正)
- NG:成功談だけで起伏がない
- Everything went well after we started…
- OK:課題→転機→解決→学び
- We struggled… The turning point was… We implemented… The key takeaway is…
練習のコツ(5分で“起伏”を作る)
- 1行ずつメモ:背景/転機/解決/学び。
- 転機には具体(日時・出来事)を1つ入れる。
- The key takeaway is… を一番ゆっくり。
- 録音→「転機の一文」がはっきり聞こえるか確認。
使い分けのヒント
- 「なぜ変えるのか」を腹落ちさせたい時に最適。
- 前半をストーリー、後半をPREPで締めるハイブリッドも有効。
③ 行動につなげる ― 問題解決型
流れ:問題 → 解決策 → 効果(/次のステップ)
(Problem → Solution → Benefit / Next Step)
効果:要点が端的で、実務的な意思決定に直結。
おすすめ場面:学会の方法・結果要約/改善提案/プロジェクト報告
サインポスト & フレーズ例
- The problem is…(問題)
- Our solution is…(解決策)
- This will lead to… / The benefit is…(効果)
- Next, we will…(次のステップ)
- つなぎ語:Currently, / Therefore, / As a result, / In the next phase…
NG → OK(よくある修正)
- NG:問題が抽象的で響かない
- We have some inefficiencies across teams…
- OK:数値や事実で特定 → 解決 → 効果
- The problem is a one-day delay due to duplicate checks. Our solution is… This will lead to…
練習のコツ(5分で“端的さ”を鍛える)
- 各セクション1文ルール(問題/解決/効果)。
- 問題は数値・事実で具体化。
- 効果は能動態の動詞で(will reduce / will improve)。
- 録音→全体が20〜40秒に収まるか確認。
コラム:情熱で動かす ― インパクト型
流れ:インパクトある一言 → 背景 → 行動の呼びかけ
効果:感情を揺さぶり、強い印象を残す。
フレーズ例:Imagine if… / We cannot ignore this… / Let’s take action together.
※メインの3型で安定運用しつつ、ここぞで挑戦する“第4のカード”として。
よくある失敗と改善のヒント
失敗① 結論を最後まで言わない
背景説明が長くなり、聴衆が「結局何が言いたいのか」を掴めない。
👉 改善:PREPで先に結論。My point is… を冒頭5秒で。
失敗② サインポストを使わない
流れの現在地が見えず、聴衆が迷子に。
👉 改善:First / Next / Finally を意識的に入れて見える化。
失敗③ クロージングが弱い
「以上です」で終わり、余韻や行動の促しが残らない。
👉 改善:I hope this inspires your next step. / Let’s work together… を一文添える。
まとめ ― 型があるから表現が広がる
構成は、聴衆に安心感を与え、理解を助ける大切な道しるべです。
- まずは一つの型を選んで練習するだけで十分。
- 慣れてきたら目的に応じて使い分け、表現の幅を広げる。
英語プレゼンは、完璧な言葉よりも流れのわかりやすさが力になります。
型を味方に、あなたのメッセージを自然に、そして力強く届けていきましょう。

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